Control of ciliary beating by neurotransmitters in sea urchin larvae
Year: 1997
Type: dissertation
Abstract: プルテウス期のウニ幼生において、神経伝達物質のもつ繊毛運動の調節作用を、単一繊毛(レベル)の運動記録をもとに、繊毛打の方向、運動周期のゆらぎの二つの側面から解析した。\\r\\\ ドーパミンをアカウニの幼生に作用させると、繊毛はその特徴である平面的な波形の屈曲パターンを維持したままで、繊毛打方向を180度回転させ、完全に逆方向に打つようになることを発見した。この新しい繊毛反応を「反転反応」、また結果として逆方向に打つようになったものを「反転打」と名付けた。ウニの幼生では、電気刺激などに応じて瞬時に繊毛打の方向が逆転する「逆転反応」という繊毛反応がこれまでに知られているが、この反転反応は繊毛打方向が徐々に回転する過程を含んでいるという点と、その過程で波形の屈曲パターンを維持するという点でこれとは明確に区別できる。この反転反応がアカウニ幼生のドーパミンによる後方遊泳の誘導の原因であるとしたら、ウニ幼生がドーパミンによるまったく新しい運動制御機構を有しているという可能性が示唆される。\\r\\\ 反転反応中の繊毛においても正常打中と同様に電気刺激によって逆転反応を引き起こすことができた。従って、反転反応と逆転反応とは全く独立した機構によって起こる、両立しうる反応であると考えられる。繊毛打の面の回転を引き起こす機構に関しては現在のところ二つの仮説(基底小体の回転により繊毛軸系そのものが回転するという仮説と、軸糸全体は回転せずに、例えば中心対微小管のような繊毛打の平面性を支配すると考えられている構造が回転することなどにより、軸糸内でタブレット微小管同士の滑り活性のスイッチング・ポイントが回転するという仮説)を提唱している。\\r\\\ 神経伝達物質、特にドーパミンとセロトニンはアカウニとバフンウニにおいて、繊毛打周期を調節する機能も合わせもつことを繊毛打周波数の測定によって示した。個々の繊毛はそれぞれ独自に変動する繊毛打周波数で運動しているが、それらの間での平均は比較的に安定している。ドーパミンは繊毛打のこの空間的平均周波数を下げ、セロトニンは上昇させた。このとき、同時にドーパミンは繊毛打周波数の変動を増加し、セロトニンは減少させた。さらに、単一繊毛の周期の連続測定を行うことによってドーパミンが各繊毛打毎の運動周期の時間的不安定性を増し(運動のゆらぎの拡大)、セロトニンは逆に周期を安定化する(ゆらぎの縮小)ことを見いだした。これは、一打毎の繊毛周期の時間的不安定性が神経伝達物質による修飾を受ける可能性を初めて示したものである。繊毛軸糸内での微小管の滑り運動を直接反映している角速度と、繊毛打周期との間には相関が低いので、繊毛打周期の安定性が軸糸内微小管の滑り活性の調節機能とは独立した機構によって制御されている可能性は高い。\\r\\\ ウニ幼生の繊毛上皮細胞は、個々の細胞が単一の繊毛をもつことから、単離した細胞を用いることによって、より詳しい運動の解析が可能である。
Author: 祐子 和田
Language: English
Subfield: Genetics
Domain: Life Sciences
Open Access status: green
OpenAlex ID: W2807782323
