Year: 2025
Type: article
Abstract: 本症例は69歳女性で、甲状腺乳頭癌術後の両側反回神経麻痺の既往がある。新型コロナウイルス感染後に呼吸困難が出現し、当初は気管支喘息重積発作と新型コロナウイルス肺炎と診断され気管挿管が行われた。しかし、両側反回神経麻痺の既往、気管挿管後の急速な改善といった臨床経過などから上気道閉塞により生じた陰圧性肺水腫(NPPE)と診断された。NPPEは上気道閉塞に対する強い吸気努力によって生じる非心原性肺水腫である。発生機序には、胸腔内圧の変化による体液移動と、機械的ストレスによる肺胞上皮と肺微小血管膜の破壊の2つが考えられている。本症例では、両側反回神経麻痺による声帯麻痺が背景にあり、新型コロナウイルス感染による上気道炎症が加わったことで上気道閉塞をきたし、NPPEを生じたと考えられた。鑑別診断として心不全、肺炎、気管支喘息が挙げられたが、臨床経過や検査所見から否定された。NPPEの治療には、軽症例では非侵襲的陽圧換気や酸素吸入で対応可能だが、重症例では気管挿管と陽圧換気が一般的である。 NPPEの頻度は高くないが、急速に重篤化する可能性があり、死亡例も報告されている。初診時の臨床像は肺炎や気管支喘息、心不全といった一般的な疾患と類似しているため、重篤な呼吸不全の鑑別にNPPEを想起し、気道確保や人工換気などの対応を検討する必要があると考えられた。
DOI: 10.15022/0002001579
Language: English
Subfield: Pulmonary and Respiratory Medicine
Field: Medicine
Domain: Health Sciences
Open Access status: green
OpenAlex ID: W7077674060
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